人間だもの。〜初オリソン収録を終えて〜


「気持ちをいれたら、どんどんどんどん難しい曲になってしまって。でも、こんなにしっかり歌ってもらえて嬉しいです。」


「僕達も本気でいい曲を作ろうとしてるからね。今回の曲は、アニソンの曲としてヒットする、それくらいのクオリティで作ってるから。」



スタジオには、6人くらいの音楽クリエイターさんとディレクターさんがいて、こんなに広いスタジオでのレコーディングも初めてで、マイクの前に立った時は緊張で顔も体もガチガチで、声も思うように出なかった。




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ボイトレの先生に楽譜を渡して、仮歌を聞いてもらった時


「すごくいい曲だね。1回聞いたらメロディが頭に残る。メロディが頭に残る曲はいい曲だよ。」


って言ってもらった。

私も一度聞いただけで、「この曲はすごくいい曲だ」って感じた。それくらい力がある曲だと思った。



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みんなも楽しみにしてくれてる。


何より、自分もこの歌をカッコよく歌いたい。

練習もたくさんした。


絶対かっこよく歌ってみせる。




無我夢中で、気がついたら驚くほど大胆な自分がいた。


アーティスト気取りで、大袈裟なことがダサいと思ってしまう私だけど、気がついたら、手も自然と大きく動いてて、脚をぐっと踏み締めて、感情的に歌ってる自分がいた。

今までは、ライブをしていても、こうやって手を動かした方が見え方がカッコいいとか、こう動くべきとか、そういうことでしか体を動かしたことはなかった。


本当に気持ちを入れて歌おうとすると、体って動くんだなぁ、と思った。


アーティストとか、素人とか、ライバーとか、もうそんなことはどうでも良くなってて、ただかっこよく歌いたい、という気持ちだけを持った自分がいた。


今の自分が歌える、1番カッコいい歌を歌ってやる。


こんなこと、今までなかった気がする。



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「ツナ缶ちゃんはどうして歌を歌ってるの?」



歌いながら、昔、私より遥かに上手いプロのシンガーに言われた言葉を思い出した。


その時は何も言い返せなかった。


でも今日なら言い返せる気がした。




どうして???何のために????


そんなん、好きだからでいいじゃんか。


歌うことに理由っている????




私は、アーティストとか、そういう仰々しい言葉が自分には似合わないと思っていて、外で「うまいね!プロ?」って聞かれても、「いや、ライブ配信で毎日歌ってるだけです。」とだけ答えてきた。



でも、アーティストに強い憧れがあったのは事実。

歌は4年くらい習っているし、歌、真剣にやってるっていってみたい。


でも、自分はまだまだ下手くそだから、アーティストなんて私には似合わないから。そう言って、自分で自分に言い訳してきた。




「ここもっと力強く表現したいのでもう1回やらせてください」、「この声の感じダサいんでもう1回やらせてください」


初対面の人、しかもプロのクリエイターさんが何人もいる中で、こんなにはっきり自分の意見を言えるなんて信じられなかった。




無我夢中で歌っている時間、

幸せでたまらなかった。

生きてるって感じがした。



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SNSは人に見てもらうため、自分を好きになるためにはじめたはずなのに、たまに自分が、物になってしまったように感じて、「結局自分には何もできないんだ」と、無力感に苛まれることが時々あった。




「美人さんはいいね、何でも許されるんだから」


「ちょっと可愛いからって調子乗ってるんだね」


「でも女の子の幸せってそういうことじゃなくない?」



sns上だけじゃなく、会った人にもこんなことをいわれることが多々ある。


贅沢なこと言ってるのは分かってる。


でも私は人間なんだ。顔とか体とか女とか、そういうことじゃなくて、ちゃんと生きてる。



私だって、私だって、私だって、私だって。



何とか自分を取り繕って生きてる。

大した才能なんて無いし、お前の頑張りなんてまだまだだって言われても仕方ない。


でもちゃんと自分の頭で考えて、心で感じて、生きてる。




生きてるのに、




そう思っても、ヘラヘラ笑ってしまうことが多い。

だって、たぶん、言っても分からないし、私もいい大人だから、色々なことを諦めてきてもいる。


なにより、別に分かられたくもない。


でも家に帰ったらちゃんと虚無感には襲われるのだけど。


私がもっとちゃんとした人間だったら、

頭が良かったら、

影響力があったら、

結局は私が中途半端だから、




私って、何?




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今日、歌ってる間は

私は確かに人間で、物でも何でもなく、

生きてるんだなと思えた。


アーティスト気取りかもしれないけど

自己満なんだけど

とにかく楽しくて、あの瞬間、私は物じゃないなって思いました


必死に「かっこよさ」と「自分らしさ」を求める1人の人間だった。

上手い歌かは分からない。


幸せだった。



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歌があがってきて、自分の声を聞いた時

ちょっと恥ずかしかったけど

「ああ、私の声だな」と思って

聴き終わったら、すごい達成感があって

やり切ったな、と感じた


それから、仮歌の人はやっぱ歌、上手いんだなぁと思って、悔しい思いをした笑




私はまだまだ発展途上というか

歌に対する気持ちは、今日新しいものが芽生えたという感じです。



皆んなが送ってくれた初のオリジナルソングで、ツナ缶ちゃんはまた新しいステージにたどり着くことが出来ました。



本当に皆んなのおかげです。

私にこんな素敵な体験をさせてくれて、ありがとう。


そして、こんな素敵な曲を作って下さった、クリエイターさん達にも感謝。



オリソン、絶対かっこいいので、楽しみに待っててね。







おわり。